【特集】大阪市ワクチン配送の『多重下請け疑惑』を追う 下請け会社のマニュアル入手…ドライバーも直撃取材 市の担当者は「運送業界の慣例であり…」
このニュースを読んで、多重下請けってどこの業界にもあるんだなーと思った。ビルメンテナンス業界も下請け、孫請け、ひ孫請けなんて当たり前の業界だと思う。不動産オーナーがAMに管理を委託、AMがPMに管理を委託、PMがBMに、BMから各協力会社に…状況によっては、協力会社の協力会社、さらにその下…と続いていく。この場合、AMが全部やれば管理費用なんて抑えられる。全ての物件がこの流れとは限らないけど、BMに限って話をしてみましょう。
BM業界なんて下請けがいないと回らない会社って多いと思う。自分が知っている範囲では、全ての業務を内包しているBM会社はいない。もちろん、探せばいるんだろうけど。
例えば、建物には消防設備というのが必ずあります。これは法律で点検が義務付けられているので、BM会社は消防設備点検をしないといけません。ところが、消防設備点検をするには消防設備士という資格が必要です。しかも、この消防設備士は消防設備によって必要な資格が異なるため、全ての消防設備を網羅するのは大変なことです。ですので、BM会社は消防点検を専門にやってる下請けに点検業務を投げるわけですね。そして消防点検を受託した業者は、場合によってはさらに下請けに投げるわけです。
これがどういう弊害を生むかと言うと、単価が高くなりがちというところ。例えば、消防設備点検を実施した結果、感知器不良がありました、感知器交換の見積もりを出す必要があります。この時、お金の流れはどうなるでしょうか。
孫請け業者の見積もり(10万円)→下請け業者が単価を乗せて見積もり(利益10%上乗せ11万円)→BM会社が単価を乗せて見積もり(利益10%上乗せ12万1千円)→PM会社が単価を乗せて見積もり(利益10%上乗せ13万2千100円)→AM会社またはオーナー…という流れになります。分かりやすく低い金額でやりましたが、オーナーからすると、本来なら10万で済む工事が13万になってるわけですよ。これが工事単価が大きいと、当然ながら上乗せされる金額も大きくなりますので、数千万規模の工事だと上乗せだけで数百万とかザラだと思います。
で、ですよ。業務を全て内包するビル管理会社ってかなり規模がデカい会社になります。消防設備、建築設備、空調設備、ボイラー、給排水設備、防災設備、浄化槽設備、電気設備、警備、清掃…これらを自前の社員で網羅できるかって話ですよね。それぞれに必要な資格も多いですし…なので構造的に下請けに投げざるを得ないわけですが…オーナーが直でそれぞれに発注すれば業者単価そのままだから安上がりなんですが、なぜそれをやらないのか。単純に面倒なんですよ。スケジュール調整、法律に沿ってるか、テナント貸ししていれば、テナントからの依頼要望も毎日あります。アホみたいにストレスがかかるんで、カネでストレスフリーな状況を得ている、それがオーナーなんですね。
下請けとか孫請けって、ある意味で楽だと思うんですよ。元請けから投げられた建物の点検するだけですから。語弊がないように言うと、きっと下請け、孫請けにもキツイところはあると思います。1日に回る物件数がハンパじゃないとか、残業がとか…。ただ、BMが一番ストレスかかるんじゃないかなって、個人的には感じている。
PMからの依頼、テナントからのクレーム、下請けの管理…本当にビルメンやりたいなら、入る会社は上場企業とかにしたほうがいいと思う。マジで。残業代とかね。
弊社はみなし残業代というのがあるんですが、50時間分で5万円ですよ。時給1,000円です。闇が深いのは、このみなし残業代の中に、夜間勤務とかも含まれてます。年次点検という建物を停電して電気設備を点検するっていうのがあるんですが、ビルによっては夜中にやるんですね。労働基準法では、22時から5時の間の労働は深夜割増ってされるべきなんですが、これがされない。
連勤当たり前、月の残業時間もえぐい、なのに手取りが低い、そりゃ人もいつかない。
私の場合は、月の休みが3日あれば良いほう、月の残業時間は100時間は普通に超える、これで額面27万、手取りで20万数百円です。やってられない。労働に対する対価が見合ってない。転職活動頑張るぞ。
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